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- 2026-3-25
- CATEGORY歯周病
歯周病の進行度と段階〜各ステージの症状と治療法を解説

歯を失う原因として最も多いのは、実は虫歯ではありません。
歯周病です。
多くの方が気づかないうちに進行し、気づいた時には手遅れになっているケースも少なくありません。歯周病は段階的に進行する病気であり、各ステージで症状や治療法が異なります。早期発見・早期治療が歯を守る鍵となるため、進行度を正しく理解することが大切です。
この記事では、歯周病の4つの進行段階について、それぞれの症状と治療法を詳しく解説します。
歯周病とは〜歯を支える組織を破壊する感染症
歯周病は、歯面に付着した「歯垢(プラーク)」の中に棲みついた細菌によって引き起こされる感染症です。
細菌が放出するLPSという毒素によって、歯肉・歯根膜・歯槽骨などの歯周組織で炎症が起こります。さらに、歯槽骨の破壊が進むことで、最終的には歯を支えきれなくなり、歯が抜け落ちてしまうのです。

歯周病には10種類以上の細菌が関係していますが、特に「レッド・コンプレックス」と呼ばれる3つの細菌が重症化に大きな影響を与えています。
- P.g.菌(Porphyromonas gingivalis)
- T.d.菌(Treponema denticola)
- T.f.菌(Tannerella forsythensis)
一度失った歯周組織は、元の状態に戻すことができません。そのため、「なってしまってから治療する」のではなく、「ならないように予防する」ことが何より重要なのです。
歯周病の4つの進行段階〜健康な状態から重度まで
歯周病はある日突然悪化するのではなく、段階を経て徐々に進行します。
自覚症状が現れにくいとはいえ、各段階で特徴的な症状があるため、日頃からご自分の歯肉をチェックすることが大切です。ここでは、健康な状態から重度の歯周病まで、4つのステージに分けて解説します。
ステージ1:健康な歯茎の状態
健康な歯茎は、きれいなピンク色をしています。
歯と歯肉の間の溝(歯肉溝)の深さは3ミリ以内で、歯肉がしっかりと引き締まっているのが特徴です。表面には「ステップリング」と呼ばれる、ミカンの皮のような小さなくぼみが見られます。歯と歯の間の歯間乳頭という部分は、はっきりとした三角形をしており、歯槽骨がしっかりしているため、歯を指で押してもぐらつくことはありません。
ブラッシングによる出血もなく、弾力のある健康な状態です。
ステージ2:歯肉炎(軽度の歯周病)
歯周病の初期段階が「歯肉炎」です。
歯周病菌によって歯肉で炎症が起こることで、きれいなピンク色だった歯肉が徐々に赤みを帯びてきます。腫れや出血が見られることもあり、歯を磨くと出血する、歯が浮いたような感じがする、歯肉にかゆみを感じるといった症状が現れます。
歯肉炎の段階では、炎症が歯肉のみにとどまっている状態です。そのため、歯科医院でしっかりと歯垢や歯石を除去することによって完治することもあります。早い段階で治療を開始すれば、通院回数も減るため費用が大幅に抑えられるのです。
ステージ3:歯周炎(中等度の歯周病)
歯肉の腫れが進んで、歯周ポケットが4ミリ以上になると「歯周炎」と診断されます。
歯周ポケットが深くなることで歯磨きが難しくなるため、深い部分に汚れがたまりやすくなります。それに伴い、歯肉の炎症が歯根膜や歯槽骨に広がっていくのです。歯槽骨の吸収とともに歯肉が後退するため、歯が長くなったように見えるようになり、さらに歯根部分が露出する場合もあります。
この段階では、冷たいものや熱いものが歯にしみる「知覚過敏」の症状が現れることもあります。歯肉が時々赤く腫れて痛む、歯肉から血や膿が出ることがある、口臭が気になるといった症状が特徴的です。
ステージ4:歯周炎(重度の歯周病)
歯周組織の破壊によって歯周ポケットが6ミリ以上になると、かなり重症の歯周病です。
歯槽骨の破壊が半分以上進むと、歯を支えきれないためグラグラの状態になります。炎症部分からは膿が出てくるため、口臭がひどくなるのも特徴です。歯肉がブヨブヨして血や膿が出る、食べ物が噛みづらい、歯が自然に抜け落ちたといった深刻な症状が現れます。
このままでは歯の保存が難しいと判断された場合は、抜歯することもあります。ひどくなる前に治療を行うことが、歯を守るために何より重要なのです。
歯周病のセルフチェック〜早期発見のために
歯周病は自覚症状が現れた時には、かなり進行している可能性があります。
そのため、日頃からセルフチェックを行って、歯肉炎や歯周炎の症状を見逃さないことが大切です。特に、悪くなった時にしか歯科医院に行かないという方は、以下の項目をチェックしてみてください。

歯周病チェックリスト
- 歯茎が赤みを帯びている
- 歯磨きの際に歯茎から出血する
- 生活が不規則でストレスが多い
- 歯茎が腫れている・ブヨブヨしている
- 歯が長くなったような気がする
- 冷たいものや熱いものが歯にしみる
- 歯の隙間が広がったような気がする
- 朝起きると口の中がねばねばしている
- 歯茎から膿が出る
- 口臭が気になる
- 歯がぐらぐらしてよく噛めない
- 歯が自然に抜け落ちた
チェック結果の見方
当てはまる項目が3つ以下の方・・・歯肉炎を発症している可能性があるため、歯科医院の検診を受けることをおすすめします。
当てはまる項目が6つ以下の方・・・歯周炎を発症している可能性があります。重症化を防ぐために、早めに治療を受けましょう。
ほとんどの項目に当てはまる方・・・重度の歯周病の可能性が高い状態です。すぐに歯科医院を受診し、適切な治療を受ける必要があります。
症状が軽ければ、歯石除去や歯磨き指導で症状は改善されますが、重症化している場合は、外科的治療や最悪の場合は抜歯が必要になる可能性があります。
歯周病の治療法〜進行度に応じたアプローチ
歯周病の治療は、進行度に応じて異なります。
軽度の歯肉炎であれば、歯垢や歯石の除去と正しいブラッシング指導で改善が期待できます。中等度の歯周炎では、歯周ポケット内の歯石除去(スケーリング・ルートプレーニング)が必要になることもあります。重度の歯周病では、外科的治療や再生療法が検討されるケースもあるのです。

いずれの段階でも、患者さまご自身による日々のセルフケアが治療の成功を左右します。歯科医院での専門的なケアと、ご自宅でのブラッシングやフロスの使用を組み合わせることで、歯周病の進行を止め、健康な歯肉を取り戻すことができるのです。
当院では、マイクロスコープを使用した精密な歯周病治療を行っています。肉眼では見えない歯周ポケット内の歯石や細菌を確実に除去することで、治療の成功率を高めることができます。また、患者さまお一人おひとりの状態に合わせた治療計画を立て、丁寧にご説明しながら治療を進めていきます。
歯周病を予防するために〜日常でできること
歯周病は予防できる病気です。
日々の正しいブラッシングとフロスの使用が、何より重要な予防法となります。歯と歯肉の境目を意識して、丁寧に磨くことで歯垢の蓄積を防ぐことができます。また、定期的な歯科検診を受けることで、初期の歯肉炎を早期に発見し、重症化を防ぐことができるのです。
生活習慣も歯周病に影響を与えます。喫煙は歯周病のリスクを高めるため、禁煙することが推奨されます。ストレスや不規則な生活も免疫力を低下させ、歯周病を悪化させる要因となるため、バランスの取れた食事と十分な睡眠を心がけることが大切です。
糖尿病などの全身疾患も歯周病と相互に影響し合うことが知られています。全身の健康管理と口腔ケアを両立させることで、歯周病のリスクを大幅に減らすことができるのです。
まとめ〜早期治療が歯を守る鍵
歯周病は、健康な状態から歯肉炎、軽度・中等度・重度歯周炎の4段階で進行します。
各段階で症状や治療法が異なりますが、共通して言えるのは「早期発見・早期治療」が何より重要だということです。初期の歯肉炎であれば、歯石除去と正しいブラッシングで完治することもありますが、重度になると外科的治療や抜歯が必要になる可能性があります。
日頃からセルフチェックを行い、少しでも異常を感じたらすぐに歯科医院を受診することが、歯を守るために最も大切なことです。当院では、患者さまが長く健康な歯を保てるよう、予防歯科を重視した診療を行っています。歯周病に関するご相談やご不安がありましたら、お気軽にご来院ください。
一生涯、ご自身の歯でお食事を楽しむために、今日から歯周病予防を始めましょう。
【著者情報】

長浜歯科医院 院長
長浜 光徳(ながはま みつのり)
数ある歯科医院の中から当院をご覧いただきありがとうございます。患者様目線を大切にし、歯周病治療と予防を中心とした歯科医療を提供しています。
日本歯科大学生命歯学部卒業後、同大学付属病院にて臨床研修を修了。長浜歯科医院の院長を継承し、地域に根ざした診療を行っている。歯周病治療に注力し、「治療だけでなく予防を当たり前にすること」を理念に、正しいセルフケア指導と継続的なメンテナンスの重要性を発信している。
現在では多くの患者がメンテナンス(SPT)へ移行し、口コミを中心に信頼を築いてきた実績を持つ。地域の学校医・園医としても活動し、予防歯科の普及に尽力している。
■ 経歴
・日本歯科大学 生命歯学部 卒業
・日本歯科大学付属病院 臨床研修医 修了
・長浜歯科医院 院長継承
■ 所属・資格
・日本歯周病学会 所属
・日本歯周病学会 認定医
・日本口腔インプラント学会 所属
・日本顕微鏡歯科学会 所属
■ 役職
・古河市上辺見小学校 学校医
・古河市上辺見保育園 園医
・古河市私立三田幼稚園 園医
・茨城県立古河中等教育学校 学校医