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  • 2025-10-1
  • CATEGORYむし歯

災害時の口腔ケア・歯科治療 平易な「Q&A」

Q1. 災害時にも「口腔ケア」(お口のケア)は必要?
被災後の不規則な生活(睡眠不足など)や栄養状態の悪化、口腔衛生状態の低下、義歯
の紛失などが重なり、肺炎やインフルエンザ・カゼなどの呼吸器感染症を起こしやすくな
ることが知られています。阪神淡路大震災、中越・中越沖地震などでの経験からも、口腔
ケアによる呼吸器感染症の予防が大切です。
呼吸器疾患予防のために、手洗いやマスクとともに、洗面などの清潔保持に必要な水の
不足があるかもしれませんが、歯みがきやうがいなどの「口腔ケア」を必ず実施してくだ
さい。

Q2. 特に口腔ケアが必要な対象者は?
自分自身で口腔ケアが難しい方には介助が必要です。また、自分で口腔ケアが可能でも、
高齢者で嚥下(飲み込み)に障害を有する方には、適切な口腔ケアが必要です。最近の研
究で、就寝中にムセなどの症状もなく唾液が気管に入り込み(=[不顕性]誤嚥)、[誤嚥性]
肺炎を起こすことが明らかになってきました。嚥下障害の自覚がなくても、肺炎で入院し
たことがある高齢者は、肺炎を繰り返しやすいため要注意です。

Q3. どのような口腔ケアが必要?
口腔を清潔にするための歯みがきとうがい、それを保つための保湿が大切です。そして
広い意味では、口から栄養や水分を適切に摂取することも心がけてください。
[誤嚥性]肺炎を起こす理由は、口腔や咽頭部にいる菌を嚥下障害のために気管・肺へ誤
嚥するためですが、免疫力が良好であれば肺炎を起こさずに済むこともあります。
口腔ケアで口を清潔にしておくと、唾液がきれいになり、たとえ誤嚥しても肺炎を起こ
しにくくなります。また口腔ケアの刺激で嚥下障害の改善を期待できますし、口から食べ
ることは栄養状態を改善し、免疫力を向上させます。

Q4. うがいする水が不足している場合は?
チューブ入りの歯みがき剤で研磨剤を含むものは吸湿作用が強く、口の中に残ると乾燥
を助長するため、うがいをしにくい状況では使わないようにします。歯ブラシを少量の水
で濡らすだけ磨きますが、液体ハミガキ(デンタルリンス)や洗口液が入手可能なら水だ
けよりも歯垢の除去に効果的です。
うがいは、口の中の汚れを水の勢いで浮き上がらせ、薄めて、吐き出す行為です。一度
に多くの水を含んで吐き出すよりも、「少量ずつ口に含んでは吐き出す」を繰り返す方が効
果的です。具体的には、1回に30mL の水でうがいするよりも、2回に分けて、15mL
の水で2回うがいする方が、薄める効果が強くなり効果的です。
なお、うがいにはクチュクチュあるはブクブクと主に口の中をきれいにする「洗口」と、
喉に対する「ガラガラうがい」があります。喉に水を溜めにくい方に「ガラガラうがい」
は危険な場合があります。

Q5. 歯ブラシを入手できない場合は?
歯ブラシを入手できなければ、タオルやティッシュペーパーなどで歯の表面を擦って、
できる限り歯垢を除去するようにしてください。液体ハミガキ(デンタルリンス)や洗口
液を併用すると歯垢を除去しやすくなります。洗口(クチュクチュあるはブクブク)だけ
では、歯垢を除去できません。

Q6.うがい薬の代用品は?
消毒効果を有するうがい薬としてイソジンガーグルが有名ですが、歯みがき時に使う液
体ハミガキや洗口液などにも消毒成分を含む製品があります。アルコールを含む製品が多
いので、刺激を感じるようでしたら、薄めて使用してください。
医療現場にあるものの中で、ポビドンヨード(イソジンなど)、オキシドール、アクリノ
ール、塩化ベンザルコニウム(オスバンなど)は口腔粘膜にも使用可能です。いずれも使
用濃度を確認してください(オキシドールは最終濃度 0.3~1.5%、塩化ベンザルコニウムは
最終濃度 0.025%以下など)。
なお、手指消毒用の製品には消毒効果がありますが、アルコールや洗浄成分を含むため、
口腔への使用はできないものが多いでしょう。

Q7.重曹水は洗口液の代用になる?
リステリンやモンダミンに代表される洗口液(マウスウォッシュ)で洗口すると、爽快
感が得られ、口臭を抑える効果があるとされます。ただし、口臭の原因であることが多い
歯垢への直接効果は限定的で、歯みがきを併用する必要があります。
口のネバネバ感に対しては、味は良くありませんが、重曹による洗口が有効です。
重曹を水に溶かすと弱アルカリ性になり、洗口液として使用することができます。濃度
は100mL の水に2g(2%)が目安です。舌苔が厚くなった時や液体ハミガキの代用と
しても有効です。

Q8. 要介護者にも口腔ケアの注意点は?
自分だけでは食べること、口腔ケアに不自由な介護を要する方には、周囲の方が食べる
ことだけでなく、その後の口腔ケアも手伝ってあげる必要があります。むしろ、必ず口腔
ケアが必要な方々です。
うがいができるか、できないかで、方法・難しさが異なります。いずれにしても、ポイ
ントは口の中の汚れを飲み込ませないように吐き出してもらう、あるいは回収することで
す。
【洗口ができる要介護者の場合】
洗口した水を飲み込ませないように吐き出してもらうための工夫として、顔を横に向け
てもらって(もし左麻痺がある場合は、右を向かせる)、喉の方へ流れ込みにくいよう配慮
します。
【洗口ができない要介護者の場合】
歯ブラシなどにつける水は必要最小限とし、顔を横に向け、下になった側の頬粘膜に濡
れティッシュなどを置きます。口の中の汚れを、歯ブラシやスポンジに絡め取るとともに、
飛散した汚れを濡れティッシュとともに回収します。(詳細は別添)

Q9.入れ歯を使用している場合のケアは?
人前で入れ歯を外すのが恥ずかしい、水が不足しているなどの状況が考えられますが、
できれば毎食後、少なくとも 1 日に 1 度は外して洗うべきです。入れ歯を口の中に入れた
たままではきれいになりません。
また、あまり意識されていないでしょうが、入れ歯は食べるためだけでなく、飲食物や
唾液を飲み込む時にも役立つことが知られています。また、入れ歯を外したままにしてお
くと、入りにくくなることがあります。
水が不足している場合の入れ歯の清掃法として、食器洗い用のスポンジや使い捨ておし
ぼりのようなもので拭ってもらうのが良いでしょう。部分入れ歯では、針金の部分など、
複雑な構造をしていることが多いので、その部分は、歯ブラシや耳掃除用の細い綿棒など
で清掃します。
なお、入れ歯を浸けておく義歯洗浄剤を入手できれば、ぜひ使用しましょう。ただし、
義歯洗浄剤を充分に洗い流してから、入れ歯を口に戻すようにしてください。食器洗い用
の中性洗剤で代用することもできます。

Q10.よく噛んで唾液を分泌させることは大切?
よく噛むことは唾液の分泌を促して消化を助け、またストレスの解消にもなり、健康維
持に役立つことが知られています。ゆっくり食べると満腹感も得られやすいことが知られ
ています。
唾液には消化や潤滑などの働きの他、洗浄や抗菌作用などがあり、口の清潔や肺炎予防
などに欠くことができない貴重なものです。唾液のネバつきは水分不足のサインですので
気をつけてください。
手軽に噛めるという点で、チューイングガムは便利です。入れ歯の方には、「歯につきに
くいガム」もあります。キシリトール入りのガムにはむし歯予防効果もあります。

日本口腔ケア学会

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